2025/11/12 更新

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イシヅカ ヒロアキ
石塚 大晃
Ishizuka Hiroaki
所属
理学院 准教授
職名
准教授
ホームページ
通称等の別名
Hiro Ishizuka
外部リンク

News & Topics
  • Investigating Magnetic Excitation-induced Spin Current in Chromium Trihalides

    2022/09/06

    掲載言語: 英語

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    A general formula that can calculate the spin current induced by oscillating magnetic fields in magnetic materials and aid our understanding of novel spintronics functionality has been developed by re

  • 2次元物質を用いたスピン流版太陽電池 新しい光スピントロニクス機能の実現に向けて

    2022/09/01

    掲載言語: 日本語

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    要点 ファンデルワールス物質の薄膜において、ギガヘルツ帯からテラヘルツ帯の電磁波を使って大きなスピン流を実現する方法を理論的に提案した。 ファンデルワールス物質の一種であるCrハライド系における光誘起スピン流を非線形理論を用いて詳細に調べ、この物質で大きなスピン流が生じることを理論的に予測した。 本研究は情報技術の重要な要素である光と磁気の間の直接的な情報交換を可能とし、光磁気技術に新し

  • 巨大な磁場応答を示す三角格子磁性半導体 三拍子揃った稀有な磁性材料の発見

    2021/12/23

    掲載言語: 日本語

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    要点-従来の磁性半導体とは異なり、スピンが非共面的に並ぶ三角格子磁性半導体の開発に成功。-開発した磁性半導体では、磁気秩序温度よりもはるかに高い温度から巨大な異常ホール効果が現れることを発見。-巨大な磁場応答の利用に向けた、磁性半導体材料の新たな設計指針につながると期待。概要東京工業大学理学院物理学

研究分野

  • 自然科学一般 / 半導体、光物性、原子物理

  • 自然科学一般 / 磁性、超伝導、強相関系

論文

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MISC

  • 磁性ワイル半金属薄膜における面内異常ホール効果の観測

    中村彩乃, 西早辰一, 石塚大晃, KRIENER Markus, 渡辺悠斗, 打田正輝

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   79 ( 1 )   2024年

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  • 磁気揺らぎによる非対称散乱と磁気輸送現象の理論

    石塚大晃

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   76 ( 1 )   2021年

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  • アンダーソン絶縁体におけるバルク光電流

    石塚大晃, 永長直人, 永長直人

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   76 ( 1 )   2021年

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  • 磁気揺らぎによる非相反電流の理論

    石塚大晃, 永長直人, 永長直人

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   75 ( 2 )   2020年

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  • トリマー化した三角格子反強磁性体における熱ホール効果

    齊藤巧真, 石塚大晃, 永長直人, 永長直人

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   75 ( 1 )   2020年

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  • 三角格子反強磁性体Ag2CrO2高純度薄膜における磁気異方性の電気的検出

    今田絵理阿, 谷口祐紀, 渡邉杜, 徳田将志, 鈴木将太, 井邊昂志, 荒川智紀, 荒川智紀, 吉田紘行, 石塚大晃, 小林研介, 小林研介, 新見康洋, 新見康洋

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   75 ( 1 )   2020年

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  • モアレ・グラフェンにおける電子フォノン相互作用の制御性

    石塚大晃, 石塚大晃, FAHIMNIYA Ali, LEVITOV Leonid

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   75 ( 2 )   2020年

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  • 量子ラチェット効果の低温でのスケーリング則

    濱本敬大, PARK T., 石塚大晃, 永長直人, 永長直人

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   74 ( 1 )   2019年

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  • 三角格子反強磁性体Ag2CrO2薄膜における磁気伝導測定

    谷口祐紀, 渡邉杜, 徳田将志, 井邊昂志, 鈴木将太, 荒川智紀, 荒川智紀, 吉田紘行, 石塚大晃, 小林研介, 小林研介, 新見康洋, 新見康洋

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   74 ( 2 )   2019年

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  • レーザー駆動スピン流生成装置としてのフェリおよび反強磁性体

    佐藤正寛, 石塚大晃

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   74 ( 2 )   2019年

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  • スピン流版太陽電池の理論

    佐藤正寛, 石塚大晃

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   74 ( 1 )   2019年

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  • 非線形光学効果によるスピン流整流の理論:磁気シフト流

    石塚大晃, 佐藤正寛

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   74 ( 1 )   2019年

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  • 直線偏光テラヘルツ光によるシフト・マグノン流生成の理論

    石塚大晃, 佐藤正寛

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   74 ( 2 )   2019年

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  • スカラー・カイラリティによる大角度スキュー散乱の理論

    石塚大晃, 永長直人, 永長直人

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   74 ( 2 )   2019年

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  • 非磁性絶縁体におけるフォノンの熱ホール効果

    齊藤巧真, 三崎航, 石塚大晃, 永長直人, 永長直人

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   74 ( 1 )   2019年

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  • 強磁性金属における不純物によるベクトル・カイラリティと異常ホール効果

    石塚大晃, 永長直人

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   73 ( 2 )   2018年

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  • コニカル磁性が示す非相反スピン流の数値的研究

    奥村駿, 石塚大晃, 加藤康之, 大江純一郎, 求幸年

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   73 ( 2 )   2018年

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  • 相競合のある模型におけるドメイン壁内の相転移

    石塚大晃, 山田安定, 永長直人, 永長直人

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   73 ( 2 )   2018年

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  • 熱ゆらぎによる異常ホール効果の増大:モンテカルロ法を用いた数値的研究

    加藤康之, 石塚大晃

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   73 ( 2 )   2018年

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  • ワイル半金属における量子異常と関連した磁気抵抗の頑健性

    石塚大晃, 永長直人, 永長直人

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   73 ( 2 )   2018年

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  • 異常光起電効果における光励起位置依存性

    石塚大晃, 永長直人, 永長直人

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   72 ( 1 )   2017年

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  • Kitaev相互作用に由来する磁気異方性の理論

    石塚大晃

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   72 ( 2 )   2017年

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  • カイラル磁性体におけるスピン・カイラリティ揺らぎによるskew散乱

    石塚大晃, 永長直人, 永長直人

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   72 ( 2 )   2017年

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  • 強磁性金属における非可換量子力学とskew散乱

    石塚大晃, 永長直人, 永長直人

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   72 ( 2 )   2017年

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  • パイロクロア型イリジウム酸化物Nd₂Ir₂O₇における磁場印加方向に敏感な金属-絶縁体転移—Metal-Insulator Transition Sensitive to Magnetic Field Orientation in the Pyrochlore Iridate Nd₂Ir₂O₇

    小濱 芳允, Zhaoming Tian, 冨田 崇弘, 石川 洵, 金道 浩一, 中辻 知, 石塚 大晃

    固体物理 / アグネ技術センター [編]   51 ( 6 )   339 - 347   2016年6月

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:アグネ技術センター  

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  • 三角格子J1-J2モデルにおけるMulti Magnon Bound State

    高嶋梨菜, 石塚大晃, BALENTS Leon

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   71 ( 1 )   2016年

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  • 重元素磁性体における揺らぎによる磁気異方性の“反転”現象

    石塚大晃, BALENTS Leon

    日本物理学会講演概要集(CD-ROM)   71 ( 1 )   2016年

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  • パイロクロア型イリジウム酸化物Nd2Ir2O7における磁場印加方向に敏感な金属-絶縁体転移

    小濱芳允, TIAN Zhaoming, 冨田崇弘, 石川洵, 金道浩一, 中辻知, 石塚大晃

    固体物理   51 ( 6 )   2016年

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  • 27pKG-2 カゴメ近藤格子イジング格子模型におけるループ液体状態(古典フラストレート系・古典スピン系一般,領域11(統計力学,物性基礎論,応用数学,力学,流体物理))

    石塚 大晃, 求 幸年

    日本物理学会講演概要集   68 ( 2 )   258 - 258   2013年8月

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:一般社団法人日本物理学会  

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  • 29pXZC-6 スピンアイス二重交換模型における自発的反転対称性の破れ(29pXZC 古典フラストレート系・古典スピン系一般,領域11(統計力学,物性基礎論,応用数学,力学,流体物理))

    石塚 大晃, 求 幸年

    日本物理学会講演概要集   68 ( 1 )   413 - 413   2013年3月

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:一般社団法人日本物理学会  

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  • 21aFG-10 三角格子近藤格子模型が示す部分無秩序状態における電荷秩序と電子構造(21aFG 理論(Ir系・フラストレート系),領域8(強相関系:高温超伝導強相関f電子系など))

    石塚 大晃, 求 幸年

    日本物理学会講演概要集   67 ( 2 )   577 - 577   2012年8月

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:一般社団法人日本物理学会  

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  • 20aEC-4 三角格子フェリ磁性体におけるディラック・ハーフメタル(20aEC 領域4,領域7合同 グラフェン(電子相関・輸送特性),領域4(半導体,メゾスコピック系・局在))

    石塚 大晃, 求 幸年

    日本物理学会講演概要集   67 ( 2 )   633 - 633   2012年8月

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:一般社団法人日本物理学会  

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  • 21aFG-11 カゴメ格子二重交換模型におけるスピンアイス液体状態と異常ホール効果(21aFG 理論(Ir系・フラストレート系),領域8(強相関系:高温超伝導強相関f電子系など))

    石塚 大晃, 求 幸年

    日本物理学会講演概要集   67 ( 2 )   577 - 577   2012年8月

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:一般社団法人日本物理学会  

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  • 21aFG-6 スピンアイス伝導系の輸送現象と動的応答(21aFG 理論(Ir系・フラストレート系),領域8(強相関系:高温超伝導強相関f電子系など))

    宇田川 将文, 石塚 大晃, 求 幸年

    日本物理学会講演概要集   67 ( 2 )   576 - 576   2012年8月

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:一般社団法人日本物理学会  

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  • 21aFG-9 カゴメ格子上ハバードモデルにおける磁場誘起スピンカイラル秩序(21aFG 理論(Ir系・フラストレート系),領域8(強相関系:高温超伝導強相関f電子系など))

    乾 幸地, 石塚 大晃, 求 幸年

    日本物理学会講演概要集   67 ( 2 )   576 - 576   2012年8月

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:一般社団法人日本物理学会  

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  • 25aYF-7 三角格子上のイジングスピン近藤格子模型における部分無秩序状態(25aYF フラストレート系理論,領域8(強相関系:高温超伝導,強相関f電子系など))

    石塚 大晃, 求 幸年

    日本物理学会講演概要集   67 ( 1 )   591 - 591   2012年3月

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:一般社団法人日本物理学会  

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  • スピンアイス伝導系における非近藤抵抗極小現象

    宇田川将文, 宇田川将文, 石塚大晃, 求幸年

    日本物理学会講演概要集   66 ( 2 )   2011年

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  • パイロクロア格子上イジングスピン近藤格子模型における低温磁気構造とスピン液体

    石塚大晃, 宇田川将文, 宇田川将文, 求幸年

    日本物理学会講演概要集   66 ( 2 )   2011年

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  • パイロクロア格子上のスピンアイス伝導系に対するモンテカルロ法による研究

    石塚大晃, 宇田川将文, 求幸年

    日本物理学会講演概要集   66 ( 1 )   2011年

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  • アイスルール伝導系の量子臨界挙動と分数電荷励起

    宇田川将文, 石塚大晃, 求幸年

    固体物理   46 ( 2 )   2011年

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  • スピンアイス伝導系の電子状態と伝導特性

    宇田川将文, 石塚大晃, 求幸年

    日本物理学会講演概要集   66 ( 1 )   2011年

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  • フラストレート伝導電子系の励起状態:電荷アイス相のモノポール励起と分数電荷

    宇田川将文, 石塚大晃, 求幸年

    日本物理学会講演概要集   65 ( 2 )   2010年

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  • フラストレート伝導電子系の特異な性質:“ice rule”局所拘束系との結合効果

    宇田川将文, 石塚大晃, 求幸年

    日本物理学会講演概要集   65 ( 1 )   2010年

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  • フラストレートしたチェッカーボード格子拡張イジング模型における量子揺らぎの効果

    石塚大晃, 求幸年, 古川信夫, 古川信夫, 鈴木正

    日本物理学会講演概要集   65 ( 2 )   2010年

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  • 電荷フラストレート系と結合した伝導電子系における伝導特性と次元性

    石塚大晃, 宇田川将文, 求幸年

    日本物理学会講演概要集   65 ( 2 )   2010年

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  • 四角酸結晶における誘電転移:フラストレーションと量子揺らぎの効果

    石塚大晃, 求幸年, 古川信夫, 古川信夫, 鈴木正

    日本物理学会講演概要集   65 ( 2 )   2010年

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  • 電荷フラストレート系における局所拘束条件と電子状態

    石塚大晃, 宇田川将文, 求幸年

    日本物理学会講演概要集   65 ( 1 )   2010年

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 軌道磁化による非対角エレクトロニクスの創成

    研究課題/領域番号:25H00841  2025年4月 - 2028年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(A)

    打田 正輝, 石塚 大晃

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    配分額:47450000円 ( 直接経費:36500000円 、 間接経費:10950000円 )

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  • 磁性体の非線形応答における散逸と非保存性の理論

    研究課題/領域番号:23K03275  2023年4月 - 2028年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    石塚 大晃

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    配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )

    今年度は、非平衡グリーン関数法を用いた軌道流の計算を行った。まず、フロケ理論とケルディッシュ・グリーン関数法を組み合わせることで、開放系における非線形応答を計算するためのコードを開発した。さらに、ベンチマークを行い、このコードで最大1000サイト程度の規模の系まで計算を行えることを確認した。以上により、本研究を進める上で最も重要なコードの開発を完了した。
    次に、このコードを用いて、BHZ模型を1次元化した1次元BHZ鎖における軌道流の計算を行った。そして、(1)この系で軌道流が生じること、および(2)軌道流によってBHZ鎖の両端に誘電分極の蓄積が生じることを確認した。さらに、(3)バンド反転によって軌道流の向きが変化すること、(4)試料端に蓄積した誘電分極の侵入長がBHZ鎖のギャップと相関していることなどを確認した。以上のように、BHZ鎖における軌道流の蓄積を詳細に解析し、その基本的性質を明らかにすることができた。
    さらに、これまでの研究で得られた光誘起スピン流の知見を応用して、フォノンによる熱流の整流効果の研究を行った。まず、光によるフォノンの整流効果の一般公式を非線形応答理論を用いて定式化した。そして、この公式を元にして、(1)フォノンの整流効果がシフト・ベクトルに比例し、シフト電流と類似の現象であること、(2)現在利用可能な強度の光源でも、通常の熱流測定と同程度の熱流を生じさせることができること、(3) シフト電流と異なり、3つ以上のフォノン・バンドが必要なことなど、フォノンの熱流の基本的性質を明らかにした。この研究によって、光によるフォノンの整流効果が存在すること、整流されたフォノンによって生じる熱流が実験的に測定可能な強度に達することを確認できた。さらに、これらの成果をまとめ、論文を投稿した。

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  • 反転対称性の破れた磁性体における非線形応答の理論

    研究課題/領域番号:19K14649  2019年4月 - 2023年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  若手研究

    石塚 大晃

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    配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )

    本年度は、1マグノン過程による光誘起スピン流の解析を引き続き行った。まず、昨年度導出した公式を拡張し、任意の模型に適応できる非線形スピン流の公式を導出した。この公式は、任意のcolinearな磁気秩序に対して適応できる公式となっており、物質に則した模型における計算に適している。
    続いて、非線形スピン流の実験にむけて候補物質を探索した。上で導出した公式を用いて、イジング異方性のあるCrハライド系の光誘起スピン流を計算した。そして、2層Crハライドの有効模型において、昨年発見した2バンド過程(2つのマグノン・バンドを介した過程)によるスピン流が生じることを確認した。この系のスピン流密度はトイ・モデルを用いた先行研究の予測よりも大きい。さらに、このスピン流は反強磁性秩序状態のみで生じ、強磁性相では見られないこと、磁気異方性や磁場を用いてマグノンの寿命を制御することでスピン流の強度を制御できることを見出した。これらの研究により、光によるスピン流の整流効果の存在と候補物質が明らかとなった。
    一方で、光誘起スピン流などにおける角運動量の非保存性や散逸の影響については、ほとんど理解されていない。この問題を解決するため、1次元スピン鎖の光誘起スピン流を対象として、境界におけるスピン角運動量の蓄積を計算するコードを作成した。
    さらに、ファンデルワールス物質の積層構造の一種であるグラフェンのモアレ超構造でにおける光起電効果と関連した電子格子冷却率の理論研究を行った。具体的には、昨年度行ったフラッドバンドの理論研究を拡張して、モアレ超構造の多バンド効果を考慮したモデルを立てた。そして、パーセル効果によるバンド間散乱の増幅効果を考慮した電子格子冷却率の公式を導出した。
    最後に、モアレ超構造の電気伝導におけるパーセル効果の影響を評価し、40K程度の高温までフェルミ液体的挙動が見られることを指摘した。

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  • 反転対称性が破れた電子系における非線形非相反応答の理論

    研究課題/領域番号:18H03676  2018年4月 - 2022年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(A)

    永長 直人, 石塚 大晃, 江澤 雅彦

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    配分額:44070000円 ( 直接経費:33900000円 、 間接経費:10170000円 )

    (1)時間反転対称性が破れた系の非線形非相反応答では、磁性トポロジカル絶縁体の表面状態とエッジチャンネルに由来する非相反電気伝導の理論を構築した。表面状態とエッジチャンネルの回路模型を構築し現象論的な解析を行うとともに、微視的な模型に基づき両者のトポロジカルな性質によって、大きな非相反性が生じることを明らかにした。また、マルチフェロイックロイック物質におけるフォノンの伝播が磁場と平行と反平行でその速度が異なるという現象につき、微視的模型を構築することで解析し、実験結果をほぼ完全に再現した。また、FeSeとトポロジカル絶縁体の界面に現れる2次元超伝導につき、面内磁場下で現れる非相反電気抵抗がコステリッツ・サウレス転移点で発散することを予言し、それが実験でも観測された。
    (2)シフトカレントの物理的性質の研究では、強誘電半導体Sn2P2S6のシフトカレントを第一原理電子状態計算に基づいて解析し、実験とほぼ一致する結果を得た。また、層状反強磁性体CrI3につき、磁場でスイッチできるインジェクションカレントを理論的に設計した。また、マルチフェロイッス物質における電気分極の揺らぎを伴うマグノン(エレクトロマグノン)を励起することで、直流のシフトカレントが流れることを理論的に提案した。
    (3)時間反転を持つ系の非線形非相反応答では、量子ラチェットモデルにおいて、電子格子相互作用による散逸に対応したスーパーオーミックな場合に対して、Keldysh法と摂動理論を用いた解析を行い、その非相反非線形易動度が温度に対してどのように振舞うかを明らかにした。また、dc極限のZenerトンネル過程における非相反性の解析理論を構築し、シフトカレントと同様のベリー接続の差によるシフトベクトルが方向によるトンネル確率の差を与えることを見出した。

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  • 非共面磁気秩序による輸送現象におけるスピン揺らぎと乱れの効果

    研究課題/領域番号:18H04222  2018年4月 - 2020年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  新学術領域研究(研究領域提案型)

    石塚 大晃

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    配分額:3900000円 ( 直接経費:3000000円 、 間接経費:900000円 )

    磁気揺らぎを用いた巨大応答の実現可能性を中心に,磁気散乱による輸送現象を調べた.これらの研究には,散乱理論とボルツマン方程式を組み合わせた計算の他,モンテカルロ法による数値シミュレーションを用いた.
    まず,昨年度行った摂動法による解析に続き,本年度はより近藤結合が強い領域におけるスキュー散乱の解析を行った.強結合領域の解析を行うため,アンダーソン不純物模型を用いて散乱レートを調べた.得られた散乱レートの解析から,電子と磁気不純物の結合が強い極限で10度以上の大きなスキュー角を示すことを見出した.さらに,この結果を用いて電気伝導度を評価し,10度以上の大きなホール角が得られることを確認した.これらの結果は,スキュー散乱による巨大な異常ホール効果の実現を示唆する.
    次に,昨年度用意したモンテカルロ法のコードを用いて,カイラルな磁気構造が生じる三角格子模型のホール伝導度を調べた.そして,磁気転移点近傍において,基底状態よりも1000倍近く大きな異常ホール効果が表れることを確認した.この結果により,磁気揺らぎによるホール効果が基底状態のそれよりも大きな応答を示すことを初めて示された.
    最後に,磁気散乱による非相反応答を解析した.最近,MnSiで発見された非相反電流は,磁気散乱が起こしている可能性が高い.しかし,これまで理論的な理解は得られていない.我々は非相反電流の起源として,2スピン・クラスタによる非対称散乱を考えた.そして,2スピン・クラスタがベクトル・カイラリティによる非相反電流を生じることを見出した.この効果はこれまで金属では見られなかった大きな非相反電流を生じる.これらの結果は実験とよく一致する.
    以上の結果は,熱的に揺らいだスピンの局所相関が多彩な輸送現象を示すことを明らかにした.特に,従来のメカニズムより大きな応答を磁気揺らぎが実現できることを理論的に示した.

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  • 量子駆動系の非線形輸送現象における相関効果の理論研究

    研究課題/領域番号:16H06717  2016年8月 - 2018年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  研究活動スタート支援

    石塚 大晃

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    配分額:2600000円 ( 直接経費:2000000円 、 間接経費:600000円 )

    空間反転対称性の破れた物質に特有の物理現象である異常光起電効果および二次高調波発生をゼロギャップ半導体から絶縁体までの異なる性質を持つ物質系を対象として理論的に研究した.そして,ゼロギャップ半導体では,絶縁体とは異なる機構による異常光起電効果および二次高調波発生が見られることを見出した.また,絶縁体における研究では,Rice-Mele模型における異常光電流を非平衡Green関数法を用いて解析した.そして,従来のpn接合系における光起電効果と異なり,異常光起電効果が光電子の励起位置によらないことを確認した.これらの成果は今後の異常光起電効果の実験的研究に対して指針を提供することが期待できる.

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  • 局所相関の強いスピン液体と相互作用する遍歴電子系における伝導特性の数値的研究

    研究課題/領域番号:11J09023  2011年 - 2014年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  特別研究員奨励費

    石塚 大晃

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    配分額:1900000円 ( 直接経費:1900000円 )

    本年度は、これまでに作成したコードを用いて(1,2)パイロクロア格子および(3,4)カゴメ格子上の近藤格子模型の解析を行った。また、(5)これまでのコードを拡張し、面心立方格子上のハイゼンベルグスピン近藤格子の解析も行った。最後に、これまでの成果を論文にまとめた。
    (1)スピンクラスター相の発見 : パイロクロア格子上のイジングスピン近藤格子模型の解析をさらに進め、本年度は特に強結合極限に注目した解析を行った。摂動計算に基づいた有効スピン模型、および近藤格子模型に対する解析を行い、このモデルがスピンクラスター形成を伴う中間相を生じることを示した。さらに、このスピンクラスター相がスピンホール効果を生じることを見出した。
    (2)パイロクロア格子近藤格子摸型の有効スピン模型 : 上記(1)の模型に対して弱結合側に対応する有効スピン模型を解析した。そして、近藤格子模型の相図がこの模型によって半定量的に再現できることを確認した。
    (3)ループ液体状態の発見 : カゴメ格子上のイジングスピン近藤格子模型について、スピン電荷相互作用がバンド幅と等しい程度の領域に注目して、モンテカルロ法を用いた解析を行った。その結果、この領域においそ、分数磁化を有し、majority spinによるループで特徴付けられる特殊な中間状態(ループ液体状態)が生じることを示した。
    (4)カゴメアイス絶縁体の安定性 : 昨年度発見したカゴメアイス絶縁体の安定性を数値的に評価した。そして、カゴメアイス絶縁体相、幅広いキャント角、および3次元性にたいしても一定の安全性を有することを示した。
    (5)面心立法格子における磁場中相転移 : 面心立法格子上の古典的ハイゼンベルグスピン近藤格子模型を解析した。そして、磁場中における強磁性・常磁性相転移近傍において、スピンの熱揺らぎの特異的な発達を見出した。これは、伝導電子との結合を通じて伝導特性に大きな影響を与える可能性がある。

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