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WalkMate System: Stepping to the rhythm with interacting robots
2012/08/31
掲載言語: 英語
共同研究・競争的資金等の研究課題
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座位で安全に歩行トレーニングが可能な腕振りリズムアシストロボット
研究課題/領域番号:24K00844 2024年4月 - 2027年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
緒方 大樹, 三宅 美博, 石井 秀明, 内富 寛隆, 稲葉 彰, 織茂 智之, 野川 茂, 中川 裕介
配分額:18590000円 ( 直接経費:14300000円 、 間接経費:4290000円 )
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弱い紐帯の強さを導入した参入規則に基づく社会ネットワークの構造形成の定量的分析
研究課題/領域番号:24K15150 2024年4月 - 2027年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
小川 健一朗, 三宅 美博, 天野 俊一
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
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言語・身体・自己意識の相互関係に関する通言語的研究:学際的アプローチに基づいて
研究課題/領域番号:21K18368 2021年7月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
植野 貴志子, 三宅 美博, 野村 佑子
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
2021年度の活動は下記のとおりである。
(1)9月、電子情報通信学会・思考と言語研究会(TL)において、口頭発表「言語・身体・自己意識の相互関係に関する異言語比較研究」(植野・野村)を行った。本発表では、言語、身体感覚、自己意識の相互関係を明らかにするための第一歩として計画しているVirtual Reality実験と事後インタビューのデザインを示し、フロアから貴重な助言や意見をいただいた。
(2)11月~12月、週1回のペースで、日本語母語話者および英語母語話者を被験者とした実験を行うためのオンライン打合せを行った。同時に、「人を対象とする研究」に関する倫理審査の手続きを行った。
(3)12月~1月、日本語母語話者(17名)、英語母語話者(13名)を対象としたVirtual Reality実験と事後インタビューを実施した。
(4)1月~3月、実験結果の分析、および、実験方法の見直しを行った。Virtual Reality実験の方法について改善すべき点が見つかったため、システムの修正、開発を行った。事後インタビューについてはインタビュー項目等の検討を行った。 -
心理的効用に基づく優先的選択規則に従い時間発展する社会ネットワークの定量的分析
研究課題/領域番号:21K12088 2021年4月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
小川 健一朗, 三宅 美博, 天野 俊一
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
ネットワーク研究によれば、SNSなどの社会ネットワークではフォロア数の多い人物ほど他者がアクセスする傾向にあり、そのような社会ネットワークは参加者のフォロア数の分布がスケールフリー性を有するとされる。しかし近年、スケールフリーな社会ネットワークは実際にはそれほど多くないことが指摘されている。そもそも人間関係の選好(優先的選択規則)は単純に繋がりの数に基づくものではなく、繋がることによる「効用(費用と利益)」が重要であると考えられる。そこで本研究では、効用に基づく優先的選択規則に従う社会ネットワークの時間発展モデルを構築・分析することで、効用が社会の形成に与える影響を解明することを目的とする。
本年度は、本研究の基盤となる「人と人との繋がり(リンク)の距離に依存する効用に基づき時間発展する社会ネットワークの数理モデル」を構築した。そして、当該モデルの特別なケースとして、(1)直接効用(一次の距離に依存する効用)に基づく場合、(2)間接効用(二次の距離に依存する効用)に基づく場合、(3)ランダムに選択がなされる場合を数理解析と数値シミュレーションにより比較した結果、直接効用に基づく優先的選択規則に従い時間発展するネットワークはスケールフリー性を有する一方、間接的効用に基づく優先的選択規則に従い時間発展するネットワークは有限時間後にスケールフリー性を破り、局所的にリンクが集中する領域が形成されると共に、当該領域を中心として長時間後にネットワーク全体の効用を急激に増加させることが示された。 -
身体同調に基づく三者間コミュニケーションに対する社会性の影響の定量的分析
研究課題/領域番号:18K11500 2018年4月 - 2023年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
小川 健一朗, 三宅 美博
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
本研究では三者間の非言語コミュニケーションにおける第三者の影響を調べることを目的とし、教師役一人(実験者)から生徒役二人(参加者)への一方向的に情報を伝達する実験を行い、生徒間に壁を入れることで視覚的相互作用を遮断した場合と壁を入れない場合とで生徒役の身体動作を定量的に比較した。その結果、生徒間の視覚的相互作用はお互いの協調関係を強化する傾向にあると共に、生徒の教師に対する関心は他の生徒の存在により強化される傾向にあることが示唆された。
この実験の発展系として、本年度は、(条件1)教師役一人(実験者)と生徒役二人(一人が実験者、もう一人が参加者)が実験に参加する、(条件2)条件1の下で生徒間に壁を設け、生徒間の視覚的な相互作用を遮断する、という2条件下で教師から生徒へ一方向的に情報を伝達する実験を計画し予備実験を行った。この実験のポイントは、両条件とも生徒役の実験者は教師役である実験者の話に対してわざと身体的に大きな動作で反応するように設定することにある。これにより、昨年度までの実験と比較して、条件1において生徒役であるもう一人の参加者は生徒役である実験者の身体動作を視覚的により意識するようになるであろう。この実験により、昨年度までに得られた実験結果を確実なものとすることができる。そして、予備実験の結果、条件2と比較して条件1における参加者の身体動作の頻度が統計的に有意に高くなることが示された。 -
上肢運動リズムを介して下肢歩行運動を安定化できる歩行アシストロボット開発
研究課題/領域番号:16K12950 2016年4月 - 2019年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
三宅 美博, 小川 健一朗, 関 雅俊, 織茂 智之, 和田 義明
配分額:3510000円 ( 直接経費:2700000円 、 間接経費:810000円 )
従来の歩行アシストロボットは、下肢(脚運動)に直接的に駆動力を加えるため、歩行の不自然さやトラブル時の転倒危険性の問題が指摘されてきた。そこで本研究では上肢運動(腕振り)リズムへの入力を介して、間接的に下肢運動(歩行)リズムを安定化させる新しい方法を提案し、転倒の危険性の低い安全な歩行アシストロボットを世界で初めて開発した。我々の方法は、上肢と下肢のCPGを介するリズム相互同調のなかで、上肢運動リズムの制御を介して歩行の全身体的な安定化を誘導するものである。
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身体動作の同調指標に基づくコンテクストの定量的評価と対面ネットワークの構造分析
研究課題/領域番号:15K01183 2015年4月 - 2019年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
小川 健一朗, 三宅 美博, 矢野 和夫
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
本研究は、実社会における対面コミュニケーション時の身体動作とコミュニケーションのコンテクストの共有度との関係を定量的に調べることを目的とした。そして、実際の7つの企業組織において数か月に亘り社員の身体動作の時系列データを分析したところ、対面中の二者間の身体動作の同調度がコミュニケーションのコンテクストの共有度を反映する部署情報や対面時間長と正の相関関係にあることが分かった。さらに、対面コミュニケーションのネットワーク構造との関係を調べたところ、推移性やクラスター係数などの構造指標と身体同調度との間に正の相関関係があることが分かった。
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共創的な授業支援を目的としたコミュニケーション「場」のリアルタイム可視化システム
研究課題/領域番号:15H01771 2015年4月 - 2018年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
三宅 美博, 野澤 孝之, 山本 知仁, 杉浦 元亮, 小川 健一朗, 緒方 大樹, 矢野 和男
配分額:39260000円 ( 直接経費:30200000円 、 間接経費:9060000円 )
授業とは教師と生徒のコミュニケーションを介する気づきの共創プロセスである。そして共創では「場」が重要な役割を担っている。しかし、現状では「場」を可視化する技術は開発されておらず、現場の教師の経験と勘に依存しているのが実状である。そこで本研究では、授業現場を対象として集団的コミュニケーションの「場」を可視化するシステムを構築するとともに、「場」における共感状態の神経科学的な基盤を明らかにした。さらに、「場」の情報をリアルタイムに教師にフィードバックすることのできる共創的な授業支援システムを実現した。
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ヒューマンビッグデータに基づく「場」の可視化と共創的教育イノベーション
研究課題/領域番号:26560114 2014年4月 - 2016年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
三宅 美博, 山本 知仁, 小川 健一朗, 郡司 幸夫
配分額:3640000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:840000円 )
近年、教育の「質」の向上が厳しく問われている。そもそも教育には機能的側面と「場」としての側面の二重性があり、前者の機能的側面は学習の効率化など、すでに教育工学で広く取り上げられてきた。しかし、その前提となる「場」のはたらき(雰囲気)は、学びへの意欲や主体性の向上、さらには創造性育成やコミュニケーション力の涵養など教育の「質」と深く関わる課題であるにも関わらず、工学的には全く手がつけられていなかった。そこで本研究では、ヒューマンビッグデータに基づく「場」の可視化技術の確立し、それに基づく大学教育を舞台とした場づくりと共創的教育イノベーションを実現した。
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歩行リズムの相互引き込みを用いたパーキンソン病加速歩行の安定化支援
研究課題/領域番号:23300209 2011年4月 - 2015年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
三宅 美博, 山本 知仁
配分額:18070000円 ( 直接経費:13900000円 、 間接経費:4170000円 )
本研究は、歩行リズムのインターパーソナルな相互引き込みによって、歩行リズムが動的に安定化する性質を、パーキンソン病の歩行訓練に活用することを目標にした。そして、歩行障害の一例としての加速歩行に注目し、その安定化のための支援システムを構築した。具体的には、加速歩行におけるリズム生成の安定性評価方法を確立し、歩行リズムの相互引き込みによって加速歩行が安定化されるメカニズムも解明した。これらの成果に基づいて、臨床現場で活用できるポータブルな歩行安定化システムの開発に成功した。
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「間(ま)」の共有と共創的コミュニケーション
研究課題/領域番号:21013019 2009年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究
三宅 美博, 山本 知仁
配分額:6000000円 ( 直接経費:6000000円 )
情報爆発の背景には、記号化された情報に偏ったコミュニケーション技術の拡大がある。この問題を克服するためには、記号的情報と同時に、それを統合するためのコンテクスト情報の共有が不可欠である。そしてコンテクストを生む「間」がインターパーソナルに共創される必要がある。そこで本研究では、対話コミュニケーションを対象として「間」の生成機構をモデル化し、それに基づいて情報統合を支援するヒューマンロボットインタラクション(HRI)の構築をめざした。
具体的には情報統合の対話、特に、対話を介する合意形成プロセスに注目し、「間」に関わるダイナミクスの時間発展の計測を行い、「間」の生成過程と情報の統合過程の関係について分析しモデル化した。そして、それをHRIの対話に実装し情報統合を支援できる共創的なHRIシステム技術を確立することをめざした。
平成22年度は、対話コミュニケーションにおける発話に注目し「間」のダイナミクスの時間発展の計測と分析を行った。具体的には、ポーズ長としての「間」に対する、前後から挟む発話長からの影響を分析した。その結果、先行する発話長からポーズ長が影響を受けるだけでなく、前後の発話長の関係からポーズ長が影響を受けるというグローバルな作用関係を初めて明らかにし、その発話タイミングの制御モデルを構築した。
平成23年度は、このモデル化を踏まえて、発話タイミング制御モデルのHRI(アバターと人間の相互作用)への実装および有効性評価に取り組んだ。結果的には発話の自然さに対する提案モデルの有効性が確認された。そして最終的には、インターパーソナルなコンテクスト共有が情報爆発の克服に不可欠であり、そのためには「間」の支援システムが有効であるという、共創的視点から本研究成果を取りまとめた。 -
リズムの相互同調を用いた歩行安定化システムの高齢者転倒予防への有効性評価
研究課題/領域番号:19300200 2007年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
三宅 美博, 武藤 剛
配分額:18460000円 ( 直接経費:14200000円 、 間接経費:4260000円 )
二人で並んで歩くときに自然と歩行リズムが同調することは誰にも経験があるだろう.しかし,このようなインターパーソナルな相互同調のメカニズムは十分には明らかにされておらず,臨床応用としてもほとんど進んでいない.そこで,われわれは非線形振動子を用いて構成される歩行リズムの生成モデル(仮想的歩行ロボット)と人間の歩行リズムの間で,足接地のタイミングを音刺激として交換する相互同調システムを構成してきた.本研究は,このシステムをパーキンソン病の歩行障害に適用し,歩行リズムの安定化と転倒予防への有効性を評価したものである.その結果,歩行周期の連続的減少として定義される加速歩行の緩和,および歩行周期ゆらぎの動的安定化を確認した.これらの結果は相互引き込みに基づくインターパーソナルなリズム同調の歩行安定化への有効性を示している.
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「間(ま)」の共有と共創的情報統合システム : 合意形成の対話をモデル系として
研究課題/領域番号:19024030 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究
三宅 美博, 山本 知人
配分額:7400000円 ( 直接経費:7400000円 )
情報爆発時代の背景には、記号化された言語的情報に偏ったコミュニケーション支援技術の拡大がある。この問題を克服するためには、言語的情報と同時に、情報を「統合」するためのコンテクスト情報の共有促進が不可欠である。そして、コンテクストを生む「場」や「間」をインターパーソナルに共有することで情報統合を促進できる「共創的コミュニケーション」の研究が重要になる。
われわれは、平成18年度には「間」の共有プロセスの基礎的調査として、合意形成という情報統合の対話に注目し、言語的情報のやりとりと「間」の時間変化の同時計測を行った。具体的に、合意形成の対話において、言語に関わるセマンティクスと「間」のダイナミクスの時間発展の同時計測を進めた。前者は会話分析を用いて合意度として評価し、後者は会話の交替潜時(ポーズ長)の相関解析を行った。その結果、合意度の上昇とともに被験者間のポーズ長の時間発展が同調する現象を発見した。その結果、言語に関わるセマンティクスと、「間」に関わるダイナミクスの両方がインターパーソナルな情報統合に不可欠であることが明らかになった。
これを踏まえて、平成19〜20年度には「間」の共有機構のモデル化として、そのような共創的コミュニケーションを人間同士の簡単な指示-応答対話に限定し、発話と身振りのタイミング機構を分析し、それを人間とロボットとのインタラクションの中に再構成することに取り組んだ。そして、言語情報の意味が、その発話や身振りのタイミングによって変化することを実証するとともに、それがどのような条件のもとで情報統合に寄与するかを調査した。その結果、簡単な指示-応答対話における発話と身振りのタイミング制御モデルを明らかにし、それをロボットに実装し評価することに成功した。これは情報の統合における「間」の重要性を示した初めての実験である。 -
対話における「間(ま)」の共有支援と共創インタフェース
研究課題/領域番号:18049029 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究
三宅 美博, 山本 知仁
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
ITコミュニケーションにおける情報爆発の背景には、記号化された明在的情報に偏った伝達チャンネルの拡大がある。この問題を克服するためには、明在的情報に加えて、情報を意味づけている暗在的なコンテクスト情報の共有促進技術が不可欠である。そして、このコンテクストを生む「場」や「間」が人々の間で共創される必要があると考えられる。そこで本研究では、人間の対話コミュニケーションをモデルとして「間」の共創機構を解析し、それに基づく「間」の共有支援インタフェースの構築をめざしている。これは大きく2つのステージに分けられ、前半が対話コミュニケーションにおける「間」の共創機構の解析とモデル化であり、後半がそれに基づく共創型の音声インタフェースの開発とネットワークにおける「間」の共有支援への展開である。本年度は、その構想の最初の1年分について実施した。具体的には、同期タッピング実験の研究成果をもとに、対話において発話と身体動作の関係を解析し、この予測的な時間感覚としての「間」の生成と共有のメカニズムを明らかにした。特に、対話におけるターンテイキングに注目し、発話と身振りの時間発展の計測を行なった。その結果、発話や身振りのタイミング同調(「間」の共有)と合意形成が対応することを明らかにした。これは申請代表者(三宅)・分担者(山本)と海外共同研究者(ペッペル)の連携のもと進めた.さらに、このデータの時系列解析に基づいて対話における「間」の共創モデルを構築した。これは海外共同研究者(ザカイ)の協力を得て推進した。
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「間(ま)」を合わせる共創型インタフェースの設計原理に関する研究
研究課題/領域番号:16016233 2005年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究
三宅 美博, 野澤 孝之
配分額:14000000円 ( 直接経費:14000000円 )
「間(ま)」を合わせることは人間同士の協調作業において不可欠である。しかし、この「間」が合うことは物理的な同調とは異なっていることに注意しなければならない。われわれは同期タッピング課題において、人間の同調感覚は刺激に数10ms秒先行してタップする状態に対応することを既に明らかにしており、このことは認知的な「いま」は未来としての予測的領域に創出されることを意味しているからである。したがって、人間と機械の関係においても、物理的リアルタイム性に基づく従来型の協調制御に加えて、認知的同時性としての「間」の共有が考慮されなければならない。そこで本研究課題では、このような「間」の共有機構を明らかにし、それに基づく共創インタフェースの設計論を確立することを目標とした。そこで本研究では、上記の同期タッピングにおいて予測的タイミング制御として観察される「間」の創出機構を認知神経科学的に解析し、脳高次機能が関与する認知的過程と、それが関与しない身体的過程として時間感覚の創出機構が二重化されていることを明らかにした(三宅、大西、高野、岩田、川島、野澤、ペッペル)。さらに、タッピングの時系列解析も進め、両過程のダイナミクスの違いも解明した(三宅、小松)。そして人間2人の協調タッピングにおいて「間」の共創プロセスを計測し数理的にモデル化することにも成功した(三宅、今)。このような成果を踏まえて、より広いクラスの協調作業にモデルを拡張するために、人間同士の協調歩行の解析と歩行介助システムWalk-Mateへの応用を進めた(三宅、武藤、高梨、小林哲)。さらに音楽的インタラクションの解析と再構成にも適用した(三宅、山本、小林洋)。これらの基礎研究と応用研究によって、「人間と共生できる情報システム」としての共創インタフェースの設計原理を明らかにした。
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「間(ま)」を合わせる共創型インタフェースに関する研究
研究課題/領域番号:15017234 2003年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究
三宅 美博
配分額:6600000円 ( 直接経費:6600000円 )
間(ま)を合わせることは人間同士の協調作業において不可欠である.しかし,この間が合うことは物理的な同調とは異なることが知られている.したがって人間と機械の協調においても,従来の物理的リアルタイム性に基づく協調に加えて,認知的同時性としての「間」の共有も考慮されなければならない.本研究の目標は,人間と人工物が互いに間を合わせタイミング調整できる共創型インタフェースを構成することにある.昨年度は第一段階として,一定周期のリズム音に合わせてタッピングする、同期タッピング課題におけるタイミング制御をモデル系として,間の指標となる非同期量の時間発展を心理学的に調べた.その結果,能動的注意からの影響を受ける明在的機構と,その影響を受けない自動的機構が協同的に関わる過程であることが示された.今年度は,この成果を踏まえて同過程の時系列解析を行なった。具体的には、非同期量の時間発展のスペクトル解析を行い、そのピーク成分とオフセット成分に分離して解析した。リズム音の周期が600〜1500ms程度の時にはオフセット成分に強い対数則の関係が見られ、1/f^n型のフラクタル的なダイナミクスを示すことが明らかにされた。一方、リズム音の周期が1800〜3600ms程度の時にはピーク成分が顕著になり、固有周期型のダイナミクスを示すことが示された。後者は定常性や安定性を特徴とする力学系であることを意味しており、前者は非定常で不安定であることを特徴とする力学系を意味する。さらに、これら両者のダイナミクスに基づいてタイミング制御がなされる過程の時間発展も解析した。これらの結果は、間(ま)の共創過程のモデル化へ向けての重要な情報となる.
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共創型介助ロボットWalk-Mateの高齢者への適用に関する研究
研究課題/領域番号:14350226 2002年 - 2004年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
三宅 美博
配分額:12000000円 ( 直接経費:12000000円 )
われわれは歩行障害を器質的な問題としてだけ扱うのではなく、環境と身体の相互作用における時間-空間的な運動パターンの創出の問題として捉えてきた。そして、制御する側とされる側を区別するマスタ・スレーブ形式に基づく従来の介助手法を問題とし、共創型歩行介助システムとしてのWalk-Mateを提案してきた。しかし、実際の歩行障害に対しては、まだ体系的な調査が実施されていないという問題が残されていた。そこで本研究では、Walk-Mateを歩行障害者に適用し、その介助やリハビリにおける有効性を調べることを目標とした。具体的には下記の2つの問題に取り組んだ。
(1)高齢者用Walk-Mate構築
旧型Walk-Mateは、高齢者に適したハードウェアにはなっていない。そこで、本研究では最初にWalk-Mateのウェアラブル化とユーザビリティの改善を進めた。
(2)高齢者への有効性を評価
上記システムを用いて高齢者の歩行障害への有効性調査を進めた。特に、歩行障害を人間とWalk-Mateから成るダイナミカルシステムの安定性の視点から評価した。
その結果、本研究では計画どおり平成14年度に加速度センサーを活用したウェアラブルなWalk-Mate高齢者モデルを構築することに成功し、平成15年度にはそのWalk-Mateを用いて有効性を体系的に調査することに着手した。そして平成16年度には歩行障害をダイナミカル疾患と捉えることで、動的システムの概念に基づいて歩行障害の評価指標を作成した。具体的には、筋骨格系障害の一つである股関節障害について集中的にデータを取得し解析した。最終的には50人の患者に体系的調査を行ない、有効性を統計的に確認した。 -
「間(ま)」を合わせる共創型インタフェースに関する研究
研究課題/領域番号:14019037 2002年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究
三宅 美博
配分額:5900000円 ( 直接経費:5900000円 )
人間同士の協調作業では,相手と「間(ま)」を合わせることが重要である.しかし,この「間」が揃うことは,物理的な同調とは異なることが既に示唆されている.したがって人工物による人間の協調支援においては,物理時間の共有に加えて,認知的時間としての「間」の共有も考慮されなければならない.本研究の目標は,人間と人工物が互いに「間」を合わせタイミング調整できる共創型インタフェースを構成することにある.そして,本研究課題では,このような共創的コミュニケーションに不可欠と考えられる「間」の創出について,タイミング予測機構との関係から心理学的解析を進めた.
今年度は,その第一段階として,同期タッピング課題を用いて人間のタイミング制御における「間」の創出機構に関して調べた.特に,本研究では,同期タッピング課題において被験者の注意が予測的タイミング制御に及ぼす影響を調べた.これによって「間」の創出機構を,注意に依存する部分と依存しない部分に分離し,その相互関係を明らかにできると期待されるからである.被験者の注意の制御には二重課題法を用いた.これは対象とする課題(一次課題)を遂行中に他の課題(二次課題)を課すことによって,一次課題の遂行に必要なシステムの処理能力を減少させる実験手続きである.
その結果,同期タッピング課題におけるタイミング制御機構に2つのタイプが存在することを初めて明らかにしたのである.ひとつは注意の影響を受ける予測的タッピングであり,もう一つはその影響を受けない自動的なタッピング機構である.したがって「間」の創出とは,能動的注意からの影響を受ける明在的機構と,その影響を受けない自動的機構が協同的に関わる二重化された過程であることが示された.今後は,この二重化された機構のインタラクションに基づく「間」の創出過程の解析を進めることになる. -
身体とロボット制御における作業スキルの動的形成およびその実システムへの応用
研究課題/領域番号:11650443 1999年 - 2000年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
三宅 美博, 鄭 心知, 伊藤 宏司, 三宅 美博
配分額:3200000円 ( 直接経費:3200000円 )
2年間にわたり,運動・作業技能の形成を身体運動の出力機構である筋骨格系の力学パラメータの時間変化,ならびに関節出力トルクパターンなどと関連し,作業や環境に応じて形成されるこれらのパターンを作業スキルと捉え,その形成と汎化能力,およびそのメカニカルシステムへの応用において,以下の項目について研究を行ない,有益な知見および一定の成果を得られた.
1.動的マニピュレーションタスクの例としてバッティングをロボットマニピュレータシステムにおける実現法をとりあげた.この作業を実現するために,マニピュレータの関節駆動トルクパターンを作業スキルと捉え,目標打撃軌道が陽に与えられなくても,繰り返し動作により目標打球速度を実現るマニピュレータの関節駆動トルクパターンの学習アーキテクチャーについて検討をし,提案システムの有効性,および学習システムの汎化能力について確認を行なった.
また,人間の手のように複数の指で物体を把持して操り,持ち変えるために指を物体表面に沿って滑らせて新たな所定把持位置に移動させるためのメカニズムをロボット機構の運動学・力学のアプローチからモデリング・解析して定式化し,多指ロボットハンドを用いて人間のような器用な作業を行うための一実現法を示唆することができた.
2.マスタ・スレーブマニピュレータシステムによる遠隔微細操作時において,人間の作業適応能力を定量的に表現し,マスタ,スレーブマニピュレータ間の位置・力伝達則を変えたときの人間オペレータ特性をいくつかの作業の場合について実験的な解析を試みた.
3.サイバネティク義手・義足を人間に装着したときの適切な信号処理・制御法を検討し開発を行った.義手においては,従来の動作パターン識別よりも柔軟で連続動作の実現が可能なトルク制御義手の学習・制御法について識別率の向上,多自由度で安定な制御の実現を目指して検討を行なった.また,義足では,大腿義足の力学モデルをベースに受動要素なる各関節に配置される粘弾性機構パラメータ設計の一方法を提案し,メカニカルシステム上での実現可能性について検討を行なった.
4.群ロボットにおける動的機能分散を一種の作業スキルと捉え,それを実現するためのアーキテクチャについて検討を行なった.特に,二足歩行ロボット集団の協調荷物運搬問題において,ロボットと環境の関係同定,およびそれに基づく関係制御として構成される動的機能分散アルゴリズムを提案し,その有効性を確認した. -
粘菌の形態形成における多様性の生成と開かれた自己言及性
研究課題/領域番号:09780599 1997年 - 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A)
三宅 美博
配分額:500000円 ( 直接経費:500000円 )
前年度の研究成果より、細胞内リズムにおけるコヒーレンス生成崩壊サイクルと細胞形態における形態生成サイクルの間での相互依存関係が、真性粘菌の形態形成プロセスにおいて重要なはたらきを担っていることが実験的に示された。そこで、本年度は、このプロセスにおける相互拘束メカニズムを明らかにするために、前者を化学振動子の結合系として、後者を原形質流動に伴う力学系としてモデル化し、シミュレーション的に解析することを試みた。具体的には、化学振動子系はカルシウムおよびATPの非線型リズムの結合系と捉え、それらの濃度に依存して力学系における原形質流動の駆動力を生成すると考えた。また、力学系は原形質流動を記述するために流体力学系として捉え、その流動に伴う原形質輸送によって化学振動子の間でのカップリングに影響を及ぼすとした。これらの結果、化学系と力学系は相互拘束的挙動することがシミュレーション的にも確認された。さらに、化学系と力学系は、時間的に異なるタイムスケールで動作しており、化学振動子系における位相的コヒーレンスとしての位置情報の生成は、力学系におけるゆっくりした変化のもとに拘束を受けていることが示された。このことは、化学系における空間的多様性の生成を前提にして、個体としての時間的統合性を実現する上で力学系が有効であることを示唆している。
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リアルタイム仮説生成における機能創発とその自己言及ダイナミクス
研究課題/領域番号:08233223 1996年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 重点領域研究
三宅 美博
配分額:1800000円 ( 直接経費:1800000円 )
本研究課題では、モデル化されない環境変動に対処可能なシステムの構築を目的としている。この目的を達成するための方法として、身体系と認識系から構成されるシステムを考え、身体系において環境と相互作用を行なうことによって、コヒーレントな関係を生成し、生成された関係に基づき認識系において自身の制御ルールを自己生成していくという内的設計を提案した。具体的には、内的設計に基づくロボットを構築し、それら複数に荷物運搬を協力して行わせ、運搬途中に環境変動を与えるシミュレーションを行い、その環境適応性をみることで、内的設計の有効性を示した。このとき、制御ルールは予め規定されているが、荷重変動、ロボットの除去といった異なる環境変動に対して、個々のロボットがコヒーレントな関係を生成した場合には同一の制御ルールのもとで適応的に機能分散を行い、安定な荷物運搬を継続することを示した。また、コヒーレントな関係の生成に失敗する場合があることを示し、このことから身体系が制御ルールの妥当性を評価する働きを有しており、新たな制御ルールを生成していくための枠組みをもつことも示した。このように、本研究においては、モデル化されない環境に対処可能な工学システムを実現するために内的設計が有効である可能性が示された。
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海馬神経系における空間認知マップ生成とその自己言及ダイナミクス
研究課題/領域番号:08780636 1996年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A)
三宅 美博
配分額:1000000円 ( 直接経費:1000000円 )
空間的知覚情報が海馬神経系において統合され認知マップを生成するメカニズムを行動レベルから明らかにした。具体的には、ラットを用い、その行動可能空間が拡大する過程における空間認知マップ生成プロセスを、運動パターン変化を通して解析した。空間ナビゲーション課題として、最初に迷路空間1を学習させ、その後、新しい迷路空間2を接続して行動可能領域を拡大した。そして、このような空間拡大の前後においてスタートからゴールまでの移動距離を計測した。その結果、各試行ごとの移動距離変化のうち、新たな空間2を追加した後、オフセット成分では、学習済みの空間1の移動距離が一過的に増加し、その後両空間とも揃って減少した。また振動成分では、移動距離の増加減少リズムが出現した。さらに、その移動距離の増加、減少区間ごとに行動速度および角速度のゆらぎを評価すると、増加区間ではゆらぎが大きく減少区間では小さかった。これらの結果をまとめると、1)空間認知マップは部分空間ごとに独立に形成されるのではなく、既存マップと新たな空間知覚情報を統合する形で、空間全体に関するマップとして発展的に生成されること、さらに2)仮説的マップ生成とそれに基づく空間解釈と呼び得る、意味的に異なるプロセスが経時的かつ循環的に進行し、空間認識を発展的に達成されること、の2点が示唆された。
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振動子系における拘束条件の自己言及的創出と創発的システム設計
研究課題/領域番号:07243221 1995年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 重点領域研究
三宅 美博
配分額:1300000円 ( 直接経費:1300000円 )
従来のシステム設計では人間が拘束条件を明示的に設定し機能を規定していた。しかしこのような設計原理に基づく限り、予測できない状況に柔軟かつ発展的に対応することはできない。一方、著者は生物的「創発性」に着目し、粘菌の走化性における環境適応的形態形成やラットの空間認知マップ生成機構を解析してきた。そして、振動子系におけるリズムの相互引き込みによる拘束条件の「自己言及的」創出の重要性を明らかにした。
そこで本研究課題では、この様な生命システムにおける創発現象の根源にある拘束条件の自己創出プロセスをモデル化し、さらに人工システムとしての創発的設計原理としての確立をめざした。具体的には、群ロボットシステムをモデル系として用い、大自由度分散系の設計における逆問題をこのような新しい視点から捉えなおすことを試みた。特に、歩行ロボット群において個々のロボットの歩行運動を一種のリズムと見なし結合振動子モデルを構成した。
その結果、歩行リズムの相互引き込みによって生成する位相勾配パターンが、個々のロボットとシステム全体との位置関係、さらに外部環境とシステムの関係を表現していることが明らかにされた。そして、個々のロボットはこの情報に基づいて拘束条件を自己生成し、システム全体としての機能を創発するように協調的に機能分散できることが示された。しかも、あらかじめ予測できない環境変化に対しても、状況に応じて拘束条件をリアルタイムに生成し自律的に対応できることを示した。具体的には、グループ編成の問題と協調的荷物運搬の問題に取り組んだ。 -
粘菌の走化性における環境適応的パターン形成とその自己言及的情報構造
研究課題/領域番号:07780583 1995年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A)
三宅 美博
配分額:900000円 ( 直接経費:900000円 )
生命システムの形態は、環境変化に対して適応的に形成される必要がある。しかし従来の形態形成理論は、固定された拘束条件(境界条件)下での一定のパターン形成しか扱えないという本質的な問題点があった。そこで本研究課題では、真性粘菌の走化性をモデル系として、情報的に開かれたシステムにおける環境適応的なパターン形成の原理を明らかにすることを試みた。作業仮説としては、上記の実験的知見に基づき、自己組織系の拘束条件を自己創出できる「自己言及システム」としての情報構造を考えた。
具体的には、細胞内Ca2+リズムの相互引き込みを通して位相パターンを生成する自己組織系と、そのリズムの結合構造を規定する形態パターンとしての拘束条件の間での、相互関係の時間発展に注目した。そのため粘菌変形体に特徴的な扇型の形態パターンが発展的に形成されるプロセスにおいて、細胞内リズムの時空間ダイナミックスと形態パターンの間での経時的かつ循環的関係を画像処理的に計測した。特に、粘菌が環境からの刺激に基づいてその扇型のパターンを再構築するプロセスを観察した。
これらの結果を、細胞内リズムの相互引き込みによる位相パターン生成とそれらリズムの結合構造としての形態パターンの間での自己言及ダイナミックスとして解析した。これらによって、リズムの相互引き込みを通して生成するコヒーレント状態とそれに基づいて生成する拘束条件の間での自己言及ダイナミックスとしての環境適応的形態パターン生成のメカニズムが明らかにされた。特に、細胞内リズムの相互引き込みを通して環境依存的位相パターンが生成され、その位相関係が制御情報となり環境適応的に新たな形態パターンを生成し、それが新たな拘束条件として次の位相パターン形成に働きかける自己言及プロセスの存在が示された。 -
海馬シ-タリズムの位相ダイナミックスと情報統合機能
研究課題/領域番号:06260242 1994年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 重点領域研究
三宅 美博
配分額:1500000円 ( 直接経費:1500000円 )
海馬神経系における知覚情報の意味的統合の原理はよくわかっていない。そこで本分担課題では、空間認知マップ生成に限定してこの問題の解明を試みた。具体的には、ラットの行動可能空間が拡大する過程における空間認知マップ生成をシ-タリズムとの関連において解析するが、今年度はその第一段階として空間拡大過程における動物の行動パターン変化を重点的に調べた。学習課題としては、最初に迷路空間1に対して学習させ、その後、新しい迷路空間2を接続して行動可能領域を拡大するというものを用い、この前後において空間1と2におけるラットの移動距離を計測した。その結果、移動距離変化のオフセット成分では、空間2を追加することで、学習済みの空間1の移動距離も一過的に増加し、その後両空間とも揃って減少した。このことは、認知マップは部分空間ごとに独立に形成されるのではなく、既存マップと新たな空間知覚情報を統合する形で、空間全体に関するマップとして発展的に生成されることを示唆している。一方、移動距離変化の振動成分では、空間2を追加することで距離の増加減少リズムが出現した。そこで、移動距離の増加、減少区間ごとに各試行内での行動速度の加速度分布、角加速度分布を解析し行動ゆらぎを評価したところ、移動距離の増加区間ではゆらぎが大きく減少区間では小さかった。このことは、仮設的マップ生成とそれに基づく空間解釈と呼び得る、意味的に異なる脳内プロセスが経時的かつ循環的に進行し、空間認識が発展的に達成されることを示唆している。
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海馬神経系におけるシ-タリズムの引き込みを用いた知覚情報の意味的統合メカニズム
研究課題/領域番号:06780544 1994年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A)
三宅 美博
配分額:1000000円 ( 直接経費:1000000円 )
空間的知覚情報が海馬神経系において統合され認知マップを生成するメカニズムを行動レベルから明らかにした。具体的には、ラットを用い、その行動可能空間が拡大する過程における空間認知マップ生成プロセスを、運動パターン変化を通して解析した。空間ナビゲーション課題として、最初に迷路空間1を学習させ、その後、新しい迷路空間2を接続して行動可能領域を拡大した。そして、このような空間拡大の前後においてスタートからゴールまでの移動距離を計測した。その結果、各試行ごとの移動距離変化のうち、新たな空間2を追加した後、オフセット成分では、学習済みの空間1の移動距離が一過的に増加し、その後両空間とも揃って減少した。また振動成分では、移動距離の増加減少リズムが出現した。さらに、その移動距離の増加、減少区間ごとに行動速度および角速度のゆらぎを評価すると、増加区間ではゆらぎが大きく減少区間では小さかった。これらの結果をまとめると、1)空間認知マップは部分空間ごとに独立に形成されるのではなく、既存マップと新たな空間知覚情報を統合する形で、空間全体に関するマップとして発展的に生成されること、さらに2)仮説的マップ生成とそれに基づく空間解釈と呼び得る、意味的に異なるプロセスが経時的かつ循環的に進行し、空間認識が発展的に達成されること、の2点が示唆された。